最強頭脳ボードゲーム「ユニオンキング」の得点計算の仕掛け
最強頭脳ボードゲーム「ユニオンキング」の得点計算の仕掛けについて
すべて種明かしをします。
「ユニオンキング」が「ユニオンシリーズ」の中でも最強の
頭脳ボードゲームである理由は、得点計算の仕掛けにあります。
「ユニオンキング」では、合体させたコマの種類と、
合体コマが置かれている交点の本数によって得点が異なるように、
先ず、その遊具やルールを考案いたしました。
そして、すべての合体コマの合計得点が多い方のプレイヤーが
勝者となるというルールを採用しています。
「ユニオンキング」の得点計算は、「ユニオンシリーズ」の中でも
特別複雑になっています。
なぜ、複雑な得点計算を採用するに至ったのでしょうか。
これから、その経緯について説明させていただきます。
まず合体できるコマの条件は、同色で同種類の図形が記載された
コマどうしのみでできるというルールにしました。
それは、合体の難度を上げると共に、互いに相手のコマとの
追いかけっこにならないようにするためです。
その結果、合体コマの種類は大別すると、全部で4種類できる
ことになりました。
4種類の合体コマの名前と定義は以下の通りです。
内図合体コマ:内コマと外コマの両方に、中身のみの「内図形」が
記載された組合せの合体コマ
外図合体コマ:内コマと外コマの両方に、輪郭のみの「外図形」が
記載された組合せの合体コマ
准2重合体コマ:内コマに「外図形」が記載され、
外コマに「内図形」が記載された組合せの合体コマ
(図形どうしの仮想合体と併せて2重合体とした)
正2重合体コマ:内コマに「内図形」が記載され、
外コマに「外図形」が記載された組合せの合体コマ
(図形どうしの仮想合体と併せて2重合体とした)
そして、上記の順番
(内図合体コマ → 外図合体コマ → 准2重合体コマ → 正2重合体コマ)
の順に合体の難度が上がるように各コマの初期配置の検討を行い、
合体の難易度によって、理想的な得点を獲得できるように各合体コマの
得点を検討しました。
また、各コマの初期配置を検討するにあたり、ゲーム性を向上させるため、
以下のような得点計算のルールを採用しました。
先ず、合体の際に、ゲーム盤中央にコマを集めたいという心理を起こさせて、
互いのコマの飛び越しが起こりやすくするようにしようと考えました。
そのために、ゲーム盤中央の交点の得点を高く設定する必要があり、
交点の本数を基本点数として採用すると共に、
ゲーム盤中央の交点の交線の数を多くする施策を採用しました。
交線の数と基本点数は以下の通りです。
3本:3点、 4本:4点、 5本:5点、 8本:8点
次に、各合体コマの種類ごとに異なる得点を獲得できるように、
上記基本点数を基に、各合体コマの種類ごとの価値を得点化しました。
内図合体コマ:基本点数(交線の本数)
外図合体コマ:基本点数 プラス2点
准2重合体コマ:基本点数の2倍
正2重合体コマ:基本点数の2倍 プラス5点
さて、いよいよ、本題である「ユニオンキング」の得点計算の各計算式を
採用するに至った経緯について、種明かしをします。
1.「内図合体コマ」と「外図合体コマ」との2点の差は以下のようにして
決めました。
① 「内図合体コマ」よりも「外図合体コマ」の方がわずかに難度が高いと
感じられるのと、イメージの差から「外図合体コマ」の得点の方を高めに
設定しようと考えました。
② 「外図合体コマ」への加算点数「α」は、
「准2重合体コマ」の最低得点(3点の2倍で、6点)よりも低い得点
(3点 プラスαで、5点以下)となる、「α」を1点もしくは2点に
設定しようと考えました。
③ 交点の本数は、3本、4本、5本、8本で、各基本点数は、
3点、4点、5点、8点であるため、できれば、これ以外の点数「α」を
加算しようと考えました。
④ 上述しました①から③の条件を充たしており、最小得点での逆転が可能な
点数「α」は2点以外にはありませんでした。
以上の結論として、「外図合体コマ」には、「内図合体コマ」よりも2点多く
得点を与えることにしました。
2.「准2重合体コマ」と「正2重合体コマ」に、基本点数(交線の本数)の
2倍の得点を与えているのは、内コマと外コマとの合体の際に、
「内図形」と「外図形」との仮想合体も起きていると考えることにして、
2重合体なので、2倍の得点を与えることにしました。
また、ゲームの勝敗に関して、ゲーム内容の高度化や多様化を図るため、
勝利条件に、すべての合体コマの合計得点が100点以上という条件を
採用しています。
この勝利者としての最低条件である100点を超えやすくするために、
「准2重合体コマ」と「正2重合体コマ」には、基本点数(交線の本数)
の2倍の得点を与えることにしました。
3.「准2重合体コマ」と「正2重合体コマ」との5点の差は以下のようにして
決めました。
① 「准2重合体コマ」、「正2重合体コマ」のどちらも2重合体コマですが、
イメージの差から、
内コマに「内図形」が記載され、外コマに「外図形」が記載された
組合せの合体コマの方を「正2重合体コマ」とすることにしました。
そして、「正2重合体コマ」の方が「准2重合体コマ」よりも難度が高く
なるように、「初期配置」と「各コマの表裏の図形の組合せ」の最適値を
導き出しました。
② 「准2重合体コマ」の得点を、基本点数(交線の本数)の2倍のままとし、
「正2重合体コマ」の得点を、「基本点数の2倍 プラスβ」とする
ことにしました。
そして、プラスβの「β」を以下のようにして決めました。
8点の交点上の「准2重合体コマ」の得点は、8点の2倍で16点です。
これに対して、5点の交点上の「正2重合体コマ」の得点は、
「5点の2倍 プラスβ」なので、「10点+β」になります。
この時、「合体コマの種類」よりも「高得点の交点上での合体」の方が
高い得点が得られるようにすることで、高得点(8点)の交点から
低得点(5点)の交点上にコマを移動させたくないという心理が働く
ようにしようと考えました。
そうすると、上記の8点の交点上の「准2重合体コマ」の得点よりも、
5点の交点上の「正2重合体コマ」の得点の方が低い得点であることが
必要条件になります。
つまり、「10点+β」は16点よりも低い得点(15点以下)である
ことが必要条件となり、「β」の値は「5点以下」となります。
③ ゲーム性を高めるために、ゲーム内容に多様性を与えて、
ゲームの勝敗を合体コマの個数が5個から7個の間で勝敗がつくように
したいと考えました。
また同時に、ゲームをわかりやすくするために、100点以上になった
時点で、勝利者の権利を与えるようにすることで、
ゲームの高度化(高得点化)を考えました。
勝敗レベルを高得点化することで、より多くの合体コマを構成させるか、
高難度の合体コマを構成させるか、より多く高得点の交点上で合体させる
かの必要性が生じてまいります。
ここで、合体コマの数が最少の5個でも勝利者となれる条件を考えると、
8点の交点上で「正2重合体コマ」を5組構成させることが最低条件
となります。
すなわち、1組の「正2重合体コマ」で、20点以上を獲得できる
ことが必要条件となります。
8点の交点上での「正2重合体コマ」の得点は「8点の2倍 プラスβ」、
つまり、「16点+β」です。
この「16点+β」が20点以上の「β」の値の条件は、
「β」が4点以上ということになります。
④ 上述しました①から③の条件を基にして、「β」の値を考えると、
「β」は、「4点又は5点」に絞られます。
しかしながら、ゲームの高度化や多様性を考慮すると、
「正2重合体コマ」が5組の時の得点が高い方が良いため、
「β」の値として、「5点」がふさわしいとの結論を得ることになりました。
※βが4点では、8点の交点上で「正2重合体コマ」を5組構成させても
ぎりぎり100点にしかなりませんが、βが5点の場合には105点に
なり、勝敗に対する影響力が違います。
以上の結論として、「正2重合体コマ」には、「准2重合体コマ」よりも
5点多く得点を与えることにしました。
以下は、余談になりますが、
ユニオンキングにおける勝敗への影響力の優先度を、以下のようになるように
設定してみましたが、シミュレーションや実際にゲームを行ってみると、
基本構想通りのゲーム展開にはならず、そのことがユニオンキングの醍醐味
となっていると感じております。
勝敗への影響力の優先度:
コマの移動の手数 > 高得点の交点上での合体 > 合体コマの種類
さらにまた、余談の追加になりますが、
勝者となる得点の範囲は、100点から120点の範囲内であり、
この範囲内において、接戦が繰り広げられるように設定しております。
これは、どちらかの人が100点以上のなると、ゲームを終了させるという
ルールにしているためです。
さらになお、合体コマの得点計算は意外と簡単であることを追記させて
いただきます。
その理由は、以下の①、②の通りだからです。
① 高得点を目指して勝敗を競うため、合体コマの多くは正2重合体コマ
となります。しかも、なるべく高得点の交点上で合体させようとするため、
合体コマの多くは、21点もしくは15点となります。
このため、合体コマの合計得点の計算は意外と簡単に行えます。
② 勝者となるには100点以上の合計得点が必要であるため、最低でも
5組の合体コマを構成させなければなりません。
したがって、合計得点の計算は合体コマの数が5個もしくは6個になった
時点で行えば十分であり、それまでは、ゲームの駆け引きのみに集中
していても、問題ありません。
以上、「ユニオンキング」の得点計算の仕掛けの経緯についてお話させて
いただきました。